龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
「向こうはもう大丈夫なんですか?」
「バイキングは全員捕まえましたし、王都から援軍も来ましたからもう安心ですよ。あとは、首領を捕らえれば終わりです」
そう告げたヴァイスさんは、キッと船上の首領を睨みつけた。
「……今まで、あの首領には何度も煮え湯を飲まされてきました。クロップス卿に重傷を負わせたのも、やつの仕業です」
ヴァイスさんの声は落ち着いていたものの、やっぱり今までの悔しさや無念さが滲んで怒りを感じる。
「クロップス卿の…仇…ですね」
「はい。ですから、アリシアは手を出さないでください。やつだけは私の手で捕えます…!!」
そう宣言したヴァイスさんは気合いを入れて槍を構えた。
「はあああっ!」
裂帛の気合いとともにシルヴィアと一体化し、風と化した彼の飛翔はすさまじいスピードで。転覆した船の船底に仁王立ちした首領と対峙する。
一度目の激突では大太刀と槍が鍔迫り合いを演じ、すぐに勝負はつかない。2メートルはあるだろう筋肉隆々な大男と力勝負で対等に渡り合えるなんて。ヴァイスさんはどれだけ鍛えてるんだろう。
ヴァイスさんが首領の大太刀を横に薙ぎ払う。首領はすぐに大太刀を反転させたけど、ヴァイスさんが一度シルヴィアを後退させる。
そして、槍を構え直した彼はもう一度首領へ立ち向かう。首領も大太刀を構え、すれ違いざまに振り抜く。
勝負は、一瞬で着いた。
首領が数度身体を揺らすと、そのまま海面へ身体が落ちてゆく。
その姿が海に吸い込まれ見えなくなると、すべての決着は着いたのだった。