龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?

そして王都へ着いて早々知ったのが、ヴァイスさんが実は現女王陛下の第2王子殿下だった…ということ。

第1王子のアンテルム殿下はすでに立太子され、王太子として御成婚。今は妃殿下との間に王女お一人をもうけてらっしゃるらしい。

(そりゃあ王子様なら、周りが結婚しろってうるさいのも当たり前だよね)

ただ、ヴァイスさんはあくまであたしを“大切なひと”としか紹介していない。

恋人だとか婚約者だとか、はっきり明言したわけじゃないんだよね。

ちょっと寂しい気もするけど、それは仕方ない。あたしはヴァイスさんのなにでも無いから…。

「よし、お世話しますかあ!」

素早くシャツとショートパンツを身につけ、身支度を
整えてから張り切って厩舎を飛び出した。

まずは、岩場を巣穴にしてる騎竜たちのお世話だ。

「みんな、おはよう!ほら、今日はマルメを持ってきたよ!」
「ギイイイ」
「キュウ」

あたしが二輪車を引きながらそう叫べば、巣穴から次々と小型の翼があるドラゴンたちが飛び出してくる。

マルメはドラゴンの好物になるメロンに似た果物。故郷からタネを持ってきて栽培してて、ちょうど実がなったから差し入れにした。

「はい、はい。順番!まずは爪と角と歯のお手入れさせてね〜」

ドラゴンは自尊心が高くて触れられる事を嫌い、体の手入れを嫌がる子が多いから、好物で釣るのは他の動物と変わらない。
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