龍騎士殿下の恋人役〜その甘さ、本当に必要ですか?
(王族ってことはヴァイスさんと血が繋がっているって事だよね。お姉様かな?なら、姪のキルシェちゃんがヴァイスさんに似てるのも納得だ)
名残惜しい気持ちで2人を見送り、病室のドアをノックする。
「どうぞ」という返事が返ってきたので、ドアノブに手をかけて「失礼します」とゆっくりドアを開いた。
一面磨き込まれた石造りの病室は、木製のベッドとテーブルに椅子と、あとは様々な器具を入れる棚。窓は広く開放的で、床には絨毯と高価そうなラグが敷かれてる。天井にある照明はシャンデリアで壁には肖像画や装飾品が掛けられてる。
(うわー…なんだかお金持ちのお部屋みたい)
あたしが興味津々でキョロキョロしていると、ヴァイスさんから声をかけられた。
「私としては物置部屋でもよかったんですが、バルド卿に無理にこちらへ押し込められてしまいましたよ」
ハッとそちらを見れば、彼はゆったりとした白いダルマティカを着てるけど。肩から見えた白い包帯が痛々しい。
すぐに彼に駆け寄って、その場で膝を着いた。
「すみません、ヴァイスさん…背中、痛いですよね?ごめんなさい……本当に、ごめんなさい」
顔の前で両手を握りしめ、震えながら謝る事しかできない。
あたしがもっとうまくやれば、もっと早くリリアナさんを助けてヴァイスさんが大怪我をすることもなかったのに…。