キミとの距離が、縮まらない。

そう言うと、長谷川くんは私に声を掛けるとくるっと振り向いて他の人が作業している方へ戻っていった。


私が今起きたことに呆然としていると、「黒田さん、ちょっとこっちきてー」と原口さんに呼ばれたので、その場を離れた。


――よかった。声かけてもらって。


原口さんと一緒に、衣装用の布の寸法を測りながら、ホッとしていた。


長谷川くんが、あんな風に言ってくれたから良かったものの、やっぱり松本さんの顔は、怖くて見れなかった。


長谷川くんはすごい。私なんかと違って、言いたいことを、はっきり言う。


――やっぱり、長谷川くんと私は、真逆のタイプの人間なんだ。


企画委員の活動を通して、長谷川くんのいい面をたくさん知った。


そして好きになった。


でも、私は長谷川くんにつり合う女子じゃない。


だから長谷川くんを好きな気持ちは、知られないようにしないと。


長谷川くんに、迷惑をかけないように。

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