カマイユ~再会で彩る、初恋
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十年前の卒業生が開催する同窓会に出席する白杜(あきと)

名門私立高校ということもあり、基本転勤はない。
中高一貫校だから、中学教諭の資格を有していれば中等部への移動はある。
とはいえ、同じ敷地内の別の校舎に勤務場所が移るだけ。
教職に就いて十年以上経つが、同じ校舎で教鞭を奮っている。

クラス会や同窓会といったものに参加自体は結構している。
というより、私立というのもあって、営業のようなスタンスを取らざるを得ない。
卒業生の子供や同僚のお子さん、ご近所の子供にうちの学校を勧めて貰うためにも。

とはいえ、今まで営業らしいことを一度もしたことは無い。
向き不向きがあるように、白杜には営業センスは微塵もない。
学校の方針で仕方なく参加しているだけ。
他の教師との関係性もあって今日も参加だけして、適当に引き上げようかと思っている。


白杜は世界的にも有名な彫刻家・矢吹 (じょう) の息子で、彼の仕事の関係上、生活拠点は世界中を転々と。
特に欧州には頻繁に滞在していて、物心ついた時には本場の芸術に触れていた。

父親は根っからの自由人で、妻子がいるのに家庭を顧みらず。
自身の作品に起用したモデルとランデブーすることはしょっちゅう。

父親としては最低だが、彫刻家としては未だに超一流。
そんな父親に似たくもないのに、生まれ持った才能は幼い頃から開花していて、芸術への感性は飛び抜けていた。

コンクールに出展すれば賞を取り、個展を開けば即日完売。
有名な画家が認めるほどの才能に溢れた少年だった。

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