カマイユ~再会で彩る、初恋
疑心暗鬼


「あ~ぁ、何で秋っていつもと同じもの食べてるのに美味しく感じるんだろ」
「ホントだよね。……ファミレスの定番パスタなのにすっごく美味しく感じるの、オータムマジックだよね」

九月下旬のとある日。
国際線フライト帰りの私は、仕事終わりで千奈とファミレスで待ち合わせした。
ハワイ土産のマカダミアナッツチョコを手渡し、バタバタしていた間の近況報告をするために。
婚約者の朔也さんが出張で不在らしく、三週間ぶりに顔を見る。

「それで?メールでは簡単な報告受けてるけど、佑人とはその後、連絡は?」
「……メールが来ただけ。電話はないよ」
「そっか」

私の夏休みを使って、少し遅めの海旅行をしたあの日。
佑人からプロポーズを受けたことを千奈に話してある。
帰りの車内の雰囲気から、何となく気付いていたらしいんだけど、久しぶりにお酒を飲んだこともあって二日酔いだった千奈は、私の心配をするどころではなかったらしい。

十年以上変わらない友情をキープしていたのは、佑人の優しさだったと痛感している。


あの同窓会の日以来、急展開した私の日常。
この三か月は先生一色と言っていいほどに激変した。

「週一くらいで会ってるの?」
「う~ん、そんなところかな」
「茜の仕事、不規則だもんね」
「……うん、それが一番のネックかな」

国内線だけならまだ時間も予測し易いけれど、国際線が絡んで来ると何日も自宅に戻らずに出っ放しなんてこともある。
駆け出しのCAならまだしも、一応これでもチーフだから訓練も多く、肉体労働に近い。

< 130 / 177 >

この作品をシェア

pagetop