カマイユ~再会で彩る、初恋
「えっ……、五十嵐さん……ですよね?」
「………はい?」
ダークグレーのスーツ姿の男性に声をかけられた。
どこかで会ったことがあるような……。
「あ……さっきの、パーティーの?」
「あっ、はい!化粧室に入っていくところを見たので、……待ってたんですが…」
最初のトークタイムの五分間の他に、フリードリンクのトークタイムでも軽く会話した人。
確か、眼鏡ブランドの社長さんだって言ってたっけ。
お洒落なアンダーリムの眼鏡をかけていて、少し冷たそうな印象の人だ。
「メイクすると、だいぶ印象も変わりますね」
「……そうですか?」
上から下へと厭らしい視線が向けられる。
「すみません、待ち合わせしているので」
「……先ほどはどなたともマッチングされてませんでしたよね?」
「え?……あ、はい」
「私、……貴女の番号を書いたんですが」
「っ……、すみません」
何故、謝らないとならないのか分からない。
というより、何故こうして足止めされているのかも意味不明だ。
「今日は親に頼まれて来ただけなので、元々結婚相手を探しに来たわけじゃないんです」
「……そういう方も多いですよね」
「なので、これで失礼します」
しつこい男は嫌いだ。
あからさまにアプローチ仕掛けてくる男も。
雑に会釈し、急ぎ足でその場を立ち去る。
「待って下さいっ」
何なの?!
追いかけて来ないでよっ!
怖すぎるじゃない。
背後から呼び止められているのを無視して、無我夢中でエントランスへと。
ベルボーイが数名会釈する横を通り過ぎ、エントランスの端に停車している先生の車を見つけた。
「待てって……」
「ッ?!!」