再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
ふと見た正面玄関先で、見たことのあるような姿が目に留まった。

ーーあの人は……めぐみさん?
以前私が勤務していたTiaraというお店で一緒にキャバ嬢として働いていた先輩、めぐみさんだ。

ここ何年かは連絡を取っていなかったけれど、もしかしてこの辺りに住んでる?


「おーい、西野さん。もうすぐ受付始まる!」

「え? あ……すみません!」


安達さんに声を掛けられて、我に返った。
急いで入り口の鍵を開けると、受付に戻る。

……どうしよう。
めぐみさん、私のこと覚えているかな?

私が蒼汰さんとの別れを決断したとき、私からめぐみさんとの関りも絶った。
ちょっと……気まずい。


「西野さん、どうした? 体調悪い?」

「え! いや、あの……全然大丈夫です」


様子がおかしい私に気が付いたのか、安達さんが心配してくれている。

しっかりしないと。
私情で、安達さんを巻き込むわけにはいかない。

普通にしていれば問題ない。
もしかしたら、めぐみさんは私のことをもう忘れているかもしれないんだから。

「すぅー……はぁ」と、大きく深呼吸をしてから、仕事モードへと切り替えた。


「体調悪かったら、優太先生に診察してもらいなよ」


安達さんにそう小声で耳打ちされて、顔が熱くなる。
< 116 / 170 >

この作品をシェア

pagetop