再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そう言っためぐみさんの表情からは『莉乃に伝えなきゃいけないことがある』と、伝わってくるよう。
どうしよう……。急ぎなのかな?


「莉乃、仕事は何時に終わる?」

「えっと……お昼くらいには」

「わかった。待ってるから、ちょっと話そう」


そう言って、めぐみさんは問診票を受け取ると待合室の椅子に腰かけた。

なんだろう。なにか話すことあったかな?
いや……確かに、一方的に連絡を絶ったのは私。

めぐみさんからしてみれば、話したいことなんて山ほどあるに決まっている。


「あの人、知り合いだったの?」

「えっ! はい……まぁ、前の職場で」

「そう。なんか、西野さんとは真逆のタイプって感じだったけど」


そう思っても仕方がないと思う。
まだ少し派手めな髪の色に、キラキラとしたネイル。

真逆なんかじゃない。私も、少し前までは同じ格好をしていたんだ。
そんなことは、言えないけれど。


「まぁ、色々な人がいるからね。私は、あぁいう人たちの住む世界ってわからないけど」


「そう……ですね」と、笑って誤魔化すしかできなかった。
安達さんは悪くない。だって、過去の私を知らないんだから。

それでも……胸の辺りがチクチクと痛いのは、どうしてなんだろう?
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