再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
そんなことを考えながらタッチパネルを操作すると、やっぱり様々な種類のパスタが画面に表示されていた。


「すごっ、こんなに種類あるのか」

「……これ、迷いますよね」


流すようにタッチパネルを操作しながら、すべてのメニューに目を通していく。
軽く15種類はありそうだ。

これにはさすがの蒼汰さんも迷っているようで、なかなか決められない様子。
あれだけカルボナーラ推しだったのに。


「莉乃、決めた?」

「はい。私はウニのクリームパスタにします」

「お、いいね。俺はきのこの和風パスタにしよう」

「……カルボナーラじゃないんですね」


私の突っ込みに笑いをこらえながら、もう一度タッチパネルに目を移す蒼汰さん。

なんだかこういうの、いいなぁ。
政略結婚として一緒にいたときは、初めてのことだらけでこういう時間もなかったし。

今はもう母親となった私だけれど、たまには蒼汰さんとの時間も作りたい。
そんなことを考えていると、オーダーした食事が運ばれてきた。


「わぁ、いい匂い」

「本当美味しそうだな」


なんだかんだで忙しかったクリニック。頑張ったから、お腹もペコペコだ。
「いただきます」と両手を合わせてから、くるくるとフォークにパスタを巻き付けていく。
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