再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
口に入れた瞬間ウニの香りが鼻を通っていき、ウニのとろとろ感が口いっぱいに広がった。


「美味しいー! 仕事の後だから、余計美味しく思えますね」

「本当だな。それに、莉乃と一緒だから美味しさも2倍だ」

「……恥ずかしいからやめてください」


蒼汰さんはサラッと流すようにそういうことを言うけれど、すごく恥ずかしい。

顔が赤くなっていくのがわかった気がして、それを隠すかのように少しだけ俯いた。
誰と食べても、パスタの味は変わらないってば。


「そうだ莉乃。俺のパスタ、少し食べてみないか?」

「えっ。いいですか?」

「ちょっとずつシェアしよう」


そう提案した蒼汰さんは、くるくると自分のお皿の上でフォークにパスタを巻き始めた。

なんか、本当こういうの新鮮……。
前はデートとかも思うようにできないまま結婚して、一緒に住み始めたから。

もっと色々なところへ旅行して、こうしてデートを重ねて、こんな風に食事をシェアして。

本来なら、結婚するまでにするはずであろう経験を、全部すっ飛ばしてきた私たち。
やること全部が新鮮で。そして、ドキドキする。

そんなことを考えながら蒼汰さんの真似をして私もフォークにパスタを巻いていると、突然視界に和風パスタが映り込んできた。
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