再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
いくら高校時代に好きなった人だとはいえ、簡単に「はい」なんて返事はできない。


「西野は、俺と生活したくない?」

「そういうわけじゃなくて……」

「なら、俺と結婚して一緒に暮らそう。いや、暮らして欲しい」


真面目な高森先輩の眼差し。

それは私のことが好きだから? それとも、お酒が入った勢いでそう言っているだけなの?
けれど高森先輩は、軽はずみでこんなことを言う人じゃないーー。


「今すぐじゃなくていい。仕事のこともあるだろうし、辞めることも伝えないといけないだろ?」

「え……待ってください。私、まだ……」

「なんだ、なにか不満でもあるのか?」

「い、いえ……」


あたかも決定事項のようにそう言われ、思わず口ごもってしまった。

待ってよ。私、本当にこのまま高森先輩と結婚しないといけないの?
そう言いたいのに、喉の奥でなにかが詰まっているような感じがして、上手く言葉が出てこない。

今特定の相手がいるとかでもないけれど、こんな勢いでの結婚なんてありなの?


「じゃあ、来月には俺の部屋に引っ越そう。それまでには、退職手続きとかできるだろ?」

「え!? そんなに早くに……」

「あぁ。本当なら、もっと早くてもいいくらいだけど」
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