再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む
ここに掛けられている衣装は、もうお店で着なくなったドレスばかり。
だけどダメだ……。

どれもこれもキラキラして胸元が大きく開いたパーティードレスばかりが並んでいて、とても結婚のご挨拶に着て行けるような洋服ではない。

どうしようかと迷った挙句、スマホで『結婚 顔合わせ 衣装』と打ち込んで、どんなものがベストなのか検索を始めた。
すぐにお気に入りのファッションサイトでオフホワイトのフレアワンピースを1着購入。

それに合うバッグとアクセサリーもついでに購入して、とりあえずはなんとかなりそう。
安心して再度ベッドに横になると、私は真っ白な天井をボーっと見上げた。

……私が、結婚?
いくら政略結婚とはいえ、婚姻届を提出することに間違いはない。


「あー……もう! 困ったなぁ」


安易な気持ちで高森先輩に関わるんじゃなかった。
今さら後悔したって遅いけれど、決まったことはもうどうすることもできない。

高森先輩もすっかりその気でお父様に会わせようとしているし、来月いっぱいでお店を退職するようにも言われてしまった。

そんなつもりは一切なかったのに。
これからもずっと、あのお店で働き続けていくものだと思っていた。

結婚するとなれば欲しい物だって我慢しなければいけなくなるし、私の気分だけでは買い物もできなくなる。
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