再会したクールな皮膚科ドクターは、元・売れっ娘キャバ嬢をまるごと愛で包み込む

ブランドコスメもブランドバッグも、高森先輩に相談してから購入しなければ。

考えれば考えるほど憂鬱な気分が身体中を支配していくようで、その思考を消し去るべく、私は瞼を閉じたーー。


そしてその夜。いつもより早くお店に着いた私は、サーモンピンクのマーメイドドレスを身にまとい、めぐみさんが出勤するのをロッカールームで待っていた。

まずは、めぐみさんに言おう。
そう思ったのは、先に店長に伝えるよりも言いやすいから。

比較的早くに出勤しているめぐみさんにならこそっと伝えることができるし、今回のこの意味不明な結婚についても理解してくれるような気がすると思った。

ソワソワしながら意味もなくロッカールームをうろうろしていると、遠くで『カツカツ』とヒールの音が聞こえてくる。
しばらくすると勢いよく扉が開いて、お待ちかねのめぐみさんの姿が目に入った。


「あれ、莉乃じゃん。どうした？」

「……おはよう。今日は、ちょっと早く着いちゃって」

「ふーん？　まぁ、いいんじゃない。もう表で中川さん待ってたよ」


フード部分にふわふわしたファーが付いているブランドの高級コートを脱ぎながら、めぐみさんが教えてくれる。

「え、早っ」と短く返事をしてから窓の外を確認すると、入り口付近でタバコを吹かしている中川さんの姿が目に留まった。