山寺兄弟の深すぎる愛
龍虎兄弟はとにかく祭理を愛してやまない
駅から、ゆっくり歩いて15分。
大学についた三人。
講義室に向かう。

「えーと、何処だ?」
スマホを片手にスケジュールを確認する、風龍。

「第三?か…な…?」
風龍のスマホを覗きながら、虎空が言う。

「第三だったら、向こうだよね?」
背の高い風龍と虎空を見上げる、祭理。

そして━━━━━━

「キャー!!
龍虎くんだぁー!!」
「カッコいい~!!」
「久しぶりに見た!!」

「龍虎先輩!!」
「こっち見てくださーい!!」


「………うぜぇ…」
「うざいね…」
「………
フウちゃん、クウちゃん」

「ん?」
「何?」
「早く講義室、行こ?」

これ以上ここにいたら、きっと━━━━━

「………てか、先輩と一緒にいる人誰~?」
「どちらかの彼女とか?」
「えー!あり得なーい!」

今年大学に入学した一年生達が、口々話しているのが聞こえてきた。

やっぱり………と思う、祭理。

毎年のことだが、必ず祭理は女子学生に羨ましがられ、やっかまれる。

こんな目立つところにいると、すぐにこんな風に言われるのだ。

「二人と手まで繋いで、いいなぁー」
「てか、なんで?」
「あの人、地味じゃん……!」

その言葉に祭理は俯き、二人と繋いでいる手に力が入る。

「おい…!!」
すると、風龍の鋭くどす黒い声が響いてきた。
祭理が見上げると、風龍が凄まじい表情で睨み付けていた。

そしてそれは、虎空も同じだ。
「今、誰?
祭理のこと“地味”って言ったクズは」

「………」
風龍と虎空の恐ろしい姿に、学生達はたじろぐ。

「早く、名乗り出ろよ」

あまりにも恐ろしくて、誰もが固まっている。

「とりあえず、一年でしょ?
そんな命知らずなこと言うのって。
一年は………あの辺の奴等?」

虎空が、一年らしき学生達を睨み付けた。

「「「す、すみません……!!」」」

「「は?」」
「お前等、謝って済むと思ってんの!?」

「「「え……」」」

「祭理を傷つける奴と同じ空気を吸うなんて、虫酸が走る。
とりあえず、消えて?
━━━━━━今すぐに……」

「「「………」」」


「早くしろよ。
クウが、飛びかかるぞ?」

風龍の言葉に、一年の学生達はバタバタと逃げるように去っていった。
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