山寺兄弟の深すぎる愛
浴室に響く、シャワー音。
少しぬるめの温度で、祭理が頭からかかっていた。

身体が、妙に火照っていてまだドキドキしている。

風龍と虎空の、抑えきれない愛情と欲望。

「今朝、良いよって言わなきゃよかったかな?
頬だから良いと思ったんだけどな……」

このままでは、口唇にされるのも時間の問題だ。

でも━━━まさか、こんなにドキドキするなんて思わなかった。

頬にされただけでこんなに火照るのなら、口唇にされたらどうなるんだろう。
自分の口唇に触れる、祭理。

「………って…何!想像してんの、私!!」
頭をブルブルして、シャワーをとめた。
そして、頭や身体を洗い始めた。


そして一方の風龍と虎空は、ベランダで煙草を吸っていた。
二人とも、スマホの画面を見つめていた。
祭理が頬にキスをしてくれた写真だ。

「「可愛い…/////」」
思わず呟く、二人。

「なんだよ、クウ」
「ううん」

「早く上がって来ねぇかなー」
「そうだね」

「━━━━━なぁ、クウ」
「ん?」

「“抜け駆けしない”ってやつあんじゃん?」
「うん」

「それ、なしにしない?」

「うーん…」

「やっぱ、ダメ?」

「“その意見自体は”僕も賛成だよ」

「じゃあ、いい?」

「でもね。
そうなったら、祭理を傷つけることになりそう…」

「………あ、あーそう…だよなぁ…」
虎空の言葉に、風龍が斜め上を向いて考え息を吐いた。

「きっと僕達、今晩からでも祭理に口説きにかかる。
“三人でいたい”って言った祭理を、困らせるでしょ?
それに、僕はきっと止まらない。
それが無理矢理になっても、口唇にキスして、抱いちゃうと思う。
フウもそうじゃない?」

「そう、だな……
今からでも、風呂場に行って襲いそう…俺」

「でしょ?
だから、その“約束”はそのままの方がいいと思うんだ。
僕達のためにも、祭理のためにも………」

「………」
「………」

「………………はぁー、俺達はなんで……」
「こんな苦しい想いをしてるんだろうね……」

「どっちが、苦しいんだろう……」

「ん?フウ?」

「傍にいられないことと、傍にいて手が出せないこと」

「…………どっちも苦しい…」

「だな……
━━━━━━━あーーー!祭理を抱きてぇー!
むちゃくちゃにして、俺だけのことしか考えられないようにしてぇー!」

「同感。
どこかのマンションの一室に閉じ込めて、誰の目にも触れさせない。
僕と祭理だけの世界に行きたい……!」
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