山寺兄弟の深すぎる愛
その日のバスタイム━━━━━━

「じゃあ、入ってくっから」
風龍が風呂場に向かうと、虎空が抱き締めてきた。

「はぁ…
BBQ、行きたくないな…」
祭理の肩に顔を埋め、呟く虎空。

「え?
そう?
みんないるし、楽しいよ?きっと」

「僕は!祭理と“二人で”行きたい!」
バッと、向き直り言い聞かせるように言う。

「………」

「僕は、祭理がいればいい。
祭理だけが欲しい」

「クウちゃん…」

「あ…ごめんね、困らせるつもりはないんだ」

「うん…」

「ふぅー
祭理、可愛い…!」
自分を落ち着かせるように息を吐いて、祭理に微笑んだ虎空。

「え?」
「髪型!
ちゃんと、言ってなかったから。
ほんと、祭理は可愛くない時がないね!」
「あ、ありがとう…/////」

「フフ…ねぇ、またキスさせてね!」
ゆっくり祭理の頬に顔を近づけ、チュッ!とキスをした。

「……/////」

「フフ…可愛い/////
それに髪の毛切ったから、なんかしやすくなった気がする!」

当然、それだけでは終わらず……
反対の頬や、額や首にも啄むキスが降る。

「クウ…ちゃ…も…やめ……//////」

そこにガタン!と風呂場からドアの音がして、漸くキス責めは収まった。


虎空が風呂場に向かうと、今度は風龍。
やっぱり抱き締め、祭理の肩に顔を埋めて呟く。

「はぁ…祭理、好き…
行きたくねぇなー、BBQ」

「………」
(フウちゃんもか…)

「祭理と二人でどっか行きてぇなぁー」

「………」

「祭理を俺だけのモンにしてぇー」

「………」
どう答えていいかわからずにいると、風龍が向き直り頬を包み込んできた。

「……って言われても、困るよな?わりぃ…」
「う、ううん…」

「祭理」
「ん?」

「ずっと、傍にいろよ?俺の」
「う、うん」

「………」
「ん?フウちゃん?」

「ほんと、可愛いなお前/////」
「え?」

「髪切って、もっと可愛くなった!
可愛くて、ほんとヤバい…!/////」
そして風龍の顔が近づき、頬にキスをされた。
そのまま反対の頬にもキスをされ、あとは虎空と同じように愛撫されるように、額や首にキスされた。

「フウちゃ…だめ…/////」

「声まで可愛い/////
やっべ…興奮する…!/////
それに、髪切ったからキスしやすいし!」

そして虎空が戻ってきて、祭理が風呂場に向かった。


風龍と虎空は、ベランダに向かい煙草を吸い始めた。
空に向かって、煙草の煙を吐く。

「………」

「………」

無言の二人。
基本的に、二人の時はあまり話をしない風龍と虎空。
双子だからか、互いに考えてることがわかるから、口に出す必要がないのだ。

そして、話すとしたら祭理のことに関してだ。

「…………どんどん可愛くなるな」

「うん。
あれ、反則だよね…」

「だな」

「見せたくない…誰にも……」

「閉じ込めてぇ…」
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