利瀬くんの甘さに溺れたら
あとはお菓子を作って女子力アピールや、教室でも話しかける回数を多くするなど…。
やれることはやったけど、イマイチ効果はない模様。
「瑠々、こっち来て」
「ごめん利瀬くん、ちょーっと待ってて…!」
衣装作りも最終段階に入っている中、今日もいつもと同じように利瀬くんと二人きりで作業場にいた。
「終わったよー。どうしたの?」
手が離せない作業をしていたから、それを終わらせて利瀬くんの机に向かう。
利瀬くんは今、三月ウサギの耳作り中だ。
もちろん白うさぎの耳も担当している。
特に問題はなさそうに見えるけど、私になんの用だろう?
「瑠々、これちょっとつけてみて」
そう言いながら差し出してきたのは、まだ何も加工されていない白いうさぎの耳。
「うさぎの耳…?これを私がつけるの?」
「うん、おねがい」
え、利瀬くんが私にお願いしてる…?
普段は利瀬くんから何かを頼まれることがほとんど無いため、少し戸惑う。
そりゃ、利瀬くんも人間だもの。
人に頼み事することくらいあるだろう。