とどまることをしらないで。
彼氏。
秘密のお付き合い
わたし、永井めるには、彼氏がいる。
今、隣にガタンと音をたてて座ってひとつふーっと息をついた彼がそう。
管野 律ーーーこの学校では誰もが知っている有名人。
その理由は、さらさらの思わず触ってしまいそうになる黒髪、透き通るような肌ときれいな瞳…そして抜群のスタイル。
芸能人だと言われても信じることができる完璧なルックスを持つ彼は、学校中の女の子にめちゃくちゃな人気を誇っている。
今日もきれいだなあ……と、じーっと見つめていたのがばれたのか、ぱちりと目が合った。
「……っ!」
肩がぴくっと反応したのを、ぴょんっと揺れたツインテールの毛先が表しているよう。
ーー管野くんが、有名人なもうひとつの理由。
それは、何があっても変わらない能面表情と冷たさで、加えて無口……だから。
だけどわたしは、ひとつはてなマークが浮かぶのだ。
この、ほんの少し、ほんの少しだけど表情を崩した……と思う彼がなぜそう能面だと言われるのか。
すぐにスンっと戻された表情に、気のせいだったという事にしたけれど、いつもいつも、ふしぎだと思う。