とどまることをしらないで。







「うう……これ上手くできないよ……」


「ここはこう折って、後は広げるだけだよ」


「それが難しいんだよ……」



放課後、文化祭で教室に飾るお花を作っているところ。


それがなかなか綺麗に作れなくて、苦戦中。



……自分が不器用だってことは薄々気づいていたけど、ここまでとは……。



数えきれないほどの残骸を山になるくらい積んでいるわたしとは違って、律くんはとっても綺麗なお花たちを作っている。


紙を折るっていう作業だけなのに、なんでこんなに違うんだろう。



じっと見ているとそれに気づいたのか、わたしのところに来てくれた律くん。


とん、と机に手をついて、


「……そうじゃなくて、こう」



教えてくれた拍子に、手が触れてどきりとする。



……というか、近いよ……っ!



すぐ隣に律くんがいる。それを意識したら鼓動が鳴り止まなくて。


さらにぐっと近づいたときに、朝の雑誌の特集について思い出した。



『も、もももしかしてキス……っ!?』



ぎゅっと目をつむって、1、2、3秒。



……、あれ?



そっと目を開けると、既に律くんは目の前でお花を作り始めていた。



「~っ」



うわああぁ……っ!ひとりで期待して空回ってたってこと……っ?

恥ずかしい……っ。



耐えられなくて、思わず机におもいっきり突っ伏した。




何してんだコイツって思われても、無理はない。




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