とどまることをしらないで。


ーーーばっ



「ーーひゃあっ!なになになに……!?」



突然、目の前に現れた影にびっくりする。

本当に、いつになったらゴールに着くの……っ?



「……あれ?」



目の前が……これ、洋服?



「……本当に大丈夫?怖い?」



すぐ上から言葉が降ってきて、はっとした。


わたし、思わず律くんに抱きついちゃってた……っ!?



「ご、ごめん律くん……!すぐ離れるーーっ、わ」



このまま歩くと迷惑だから、離れようとしたけど、そのままぐっと引き寄せられた。



「ーーっ、え」



……安心する、けど。



『これはこれで、どきどきするよ……っ』



もっと、ちょっと近づいて。



『……こんなの、あと少しで触れそうじゃん』



……って、わたしどこ見てるの……っ!



ーーーだけどそのとき。



パッと近づいた距離が元通りになったから。



『……離れ、ちゃった……』



なんて、まだ残っていた温もりを追いかけそうだった。









小動物みたいに震えて、ちょこちょこと進む足取りがめちゃくちゃ可愛い。



それに、ぎゅっと腕を絡めてくるから。




『こっちの気も知らないで……』




さっきの、距離が近くなったときだって。



『……こんなの、あと少しで触れそうじゃん』



なんて、思っていたことは天然無自覚のめるには気づかれていないんだろうな。





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