とどまることをしらないで。
無事にお化け屋敷をのりきった後、お腹が空いたからふたりで焼きそばを分けっこした。
叫ぶのにあるだけの元気全部使っちゃったから……。あはは……。
その後もまた何軒かいろいろなところを回って、もうすっかり日が傾いて夕方。
ーー後夜祭が、はじまる。
大きな花火が打ち上がるのだとか。
ちなみに、“メイド&執事喫茶”は学年で一番の人気で、なんと売り上げはたくさん。
頑張って良かったなあ……。
ちょっと恥ずかしかったけど。
それにしても、
「律くん、執事姿すごくかっこ良かったなあ……」
「……え、俺?」
「うん!本当に執事みたいだった……っ!」
「……俺は執事じゃなくて、めるの彼氏なんですけど」
「……っへ…」
少しすねた様な表情。
どうしよう。さっきまで“かっこいい”って思ってたのに、今は“可愛い”しか思わない。
「ていうか、めるのメイド姿みた人の記憶全部抹消したい」
「ま、抹消……っ!?」
いきなり物騒な言葉が飛び出してきて、思わず目を丸くした。
でもなぜか冗談には聞こえなくて、ちょっぴりハラハラ。
「めるの可愛い姿は俺だけが見たいのに……」
「……っ、」
ぽつりと溢された言葉に顔を真っ赤にさせたわたしを見て、律くんはツイーテールをくるくると遊ばせる。
なんというか、これは。
……あ、甘い……。