とどまることをしらないで。


無事にお化け屋敷をのりきった後、お腹が空いたからふたりで焼きそばを分けっこした。


叫ぶのにあるだけの元気全部使っちゃったから……。あはは……。



その後もまた何軒かいろいろなところを回って、もうすっかり日が傾いて夕方。



ーー後夜祭が、はじまる。



大きな花火が打ち上がるのだとか。



ちなみに、“メイド&執事喫茶”は学年で一番の人気で、なんと売り上げはたくさん。


頑張って良かったなあ……。


ちょっと恥ずかしかったけど。


それにしても、



「律くん、執事姿すごくかっこ良かったなあ……」


「……え、俺?」


「うん!本当に執事みたいだった……っ!」


「……俺は執事じゃなくて、めるの彼氏なんですけど」


「……っへ…」



少しすねた様な表情。

どうしよう。さっきまで“かっこいい”って思ってたのに、今は“可愛い”しか思わない。



「ていうか、めるのメイド姿みた人の記憶全部抹消したい」


「ま、抹消……っ!?」



いきなり物騒な言葉が飛び出してきて、思わず目を丸くした。


でもなぜか冗談には聞こえなくて、ちょっぴりハラハラ。



「めるの可愛い姿は俺だけが見たいのに……」


「……っ、」



ぽつりと溢された言葉に顔を真っ赤にさせたわたしを見て、律くんはツイーテールをくるくると遊ばせる。



なんというか、これは。



……あ、甘い……。


< 64 / 69 >

この作品をシェア

pagetop