小さなVoyageur
第一志望だった進学校に合格して、はじめての夏。

正直、私は何の不自由もなく生きてきた。

家族仲は、良いほうだろう。

友達も多く、関係も良好。

4年目の付き合いになる彼とは、同じ高校に合格して、これもまた良好かつ模範的な関係。

部活はというと…事実上、特に活動のない化学部なので、旅に出たからと言って支障はない。

自分を美人だとは思わないが、顔や体で、直したいほど気に入らないところも特にない。

薔薇色とは言えないけれど、順風満帆な人生。

しかし、時折ふと怖くなる。

中学までは楽しそうに見えた子たちが、高校生になってからは、荒んだり、不登校になったり、退学したり。
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