手のひらに小さなハートを
「今、帰り?」
恐る恐る声をかけると、振り向いた航介がズンズンと近づいてきた。
目の前までやってきた勢いに押されて下駄箱に背が当たる。
「クマ。いつくれんの?」
「あ……う、ん。作ってはいるんだけど……」
思いのほか不機嫌で眉間に皺が寄っている。
高鳴った鼓動もその表情を見てシュルシュルと萎んでしまった。
「ちょうだい」
「あ、でも、なんか出来がイマイチで……もらっても嬉しくないんじゃないかと……」
「嬉しいか嬉しくないかは俺が決めるよ」
「そ、そうだね」
渋々鞄の奥から取り出して渡すと、不機嫌顔がみるみる笑顔に変わっていった。
「サンキュー。めっちゃ嬉しい」
「でもあんまり可愛くないでしょ、それ」
「いや、可愛い。雫みたいに」
「え?」
(……いま雫って言った?)
「大切にする」
「あ、うん。ありがとう」
恐る恐る声をかけると、振り向いた航介がズンズンと近づいてきた。
目の前までやってきた勢いに押されて下駄箱に背が当たる。
「クマ。いつくれんの?」
「あ……う、ん。作ってはいるんだけど……」
思いのほか不機嫌で眉間に皺が寄っている。
高鳴った鼓動もその表情を見てシュルシュルと萎んでしまった。
「ちょうだい」
「あ、でも、なんか出来がイマイチで……もらっても嬉しくないんじゃないかと……」
「嬉しいか嬉しくないかは俺が決めるよ」
「そ、そうだね」
渋々鞄の奥から取り出して渡すと、不機嫌顔がみるみる笑顔に変わっていった。
「サンキュー。めっちゃ嬉しい」
「でもあんまり可愛くないでしょ、それ」
「いや、可愛い。雫みたいに」
「え?」
(……いま雫って言った?)
「大切にする」
「あ、うん。ありがとう」