図書室の人魚姫
お洒落なカフェのような空間がそこには、広がっていた。その一角のスペースで青年は読書をしている。ホワイトブルーの髪は涼しげで、暑さも和らぐ。



……誰だろう。こんな、きれいな男の人見たことない。


「待っていた。ずいぶんと来るのが遅くて、心配になったけれど――よかった」



本から顔を上げた青年は穏やかに笑っている。



…………あれ? これってデジャブ、かな。



知っている気がする。どこで? 


知らない誰かなのに、涙が零れ落ちる。

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