【完結】「暁光の世から消えて死ね」 〜教会を追放された見世物小屋の聖女は、イカれた次期覇王の暫定婚約者になる。(※手のひら返しで執心されています)〜

9話:贈り物





 ルロウが足の赴くままに入っていった店は、杖・ステッキの専門店だった。

 彼の後を追う双子に促されるように入店したシャノンは、高級感のある雰囲気に気後れしてしまう。


「ルロウさ……」
「……」
「ル、ルロウ。お買い物ですか?」
「ああ、おまえのな」
「わたしの?」

 うっかり少し前までの呼び方に戻りそうになるが、ルロウは無言のままそれを矯正してみせる。

 この呼び名は固定なのね、と奔放な態度に振り回されながら彼のもとに歩み寄ると、ルロウは店内の商品を顎で指した。


「おまえに杖を買い与えるようにと、そう言われている。好きなものを選べ」
「わたしの、杖ですか?」
「杖があれば、もっと安定するし、歩くときの支えになるよね」
「キラキラしてるのがいっぱいだ〜!」


 そう言って双子は店の中を物色し始めた。


「ねえ、それってフェイロウのお金で買うの?」
「ああ」
「えっ!?」


 施設に行くことが今日の目的だったシャノンは、さすがに買ってもらうなんて悪いと遠慮する素振りを見せる。


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