初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「母がこの店を気に入っていたんだ。王都で宝飾品を選ぶ際はこの店に通っていたんだ」
 
 シンプルに見えてオシャレな内装、スタッフは女性が多いく皆笑顔がステキで働いていることに誇りを持っているといった感じ。

「いらっしゃいませ。こちらへどうぞ」

 予約をしてくれていたようで応接ブースに通された。

「お久しぶりですね。奥様と一緒に来られていた時はまだ小さなお子様でしたのに立派になられて……」

 ジルベルト様のお母様と小さいジルベルト様のお話も出てきて、和やかな雰囲気だった。

「本日はどのようなお品をお探しでいらっしゃいますか?」

「彼女が、誕生日パーティーで身につける物が欲しいんだ。首飾りはこれを……」

 ポケットから出してきた首飾りは、とても繊細で可愛いらしくさりげない豪華さだった。

「まぁ、これは夫人が私どもの店で購入されたものですね。手入れがきちんとされていて嬉しいです」

 首飾りのブルーサファイヤは貴重なものらしく胸元を華やかにしてくれるだろう。

「この首飾りをオフィーリアに……母の物なんだけど」
「え! そんな大事なものを私に!」

 ジルベルト様のお母様の形見?

「父もオフィーリアが受け取ってくれるのならと賛成してくれたんだ。デビューの時に身につけて欲しい。嫌なら受け取るだけでも、」
「こんな素晴らしい物をいただいて、本当に良いの?」

「オフィーリアに受け取ってもらいたいんだ。母も喜んでくれると思うし、良いものだから使って欲しい」

「ありがとうございます。伯爵にもお礼を伝えてくださいね。こんなステキなプレゼントは初めです」

 ジルベルト様のお母様の宝石を譲り受けるなんて……嬉しい。誕生日会が楽しみになってきた。

「彼女が来月誕生日で身につけるドレスはブルーなんだ。この首飾りに合わせて耳飾りなども揃えたいと思う」

 ジルベルト様が伝えるとスタッフさん達は店内へ行く。しばらくして並べてくれた耳飾りや腕輪……

 華奢で華やかで可愛い!

「どれが良い? どれもオフィーリアに似合いそうだ」


 あ。


「……これ、」

 そっと指を差す。首飾りに合いそう。

「まぁ、ふふっ。奥様が今この場に居られましたら同じものを選んでいたと思いますよ」

 そうなの?! ジルベルト様を見たら優しい顔つきで私を見ていて、これに決めよう。と言った。

 

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