初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
「ジルベルトはオフィーリア嬢と出会えて良かったな。見てみろあの嬉しそうな顔」

 フローリアの友人ジルベルト・ロワール。ルシアンと親戚で幼い時から仲良くしていた。キレイな顔をした男の子で女の子と間違えられる事も多々あった。
 それを思うと立派になったなぁ。騎士団にスカウトされる事もしばしばあったのに、答えはいつもNOだった。

 ロワール領から騎士になり王都に行く人数は国内No. 1で今でも恐ろしいほど騎士の卵が集う場所。
 国としても下手したら厄介な領地なんだが、刃向かう気はさらさらないようだし喜んで王都に騎士を送り出し引退後はまたロワール領に帰ってくる。領主の人柄だろう。

 かと思えば花やステンドグラスが有名で今や祭りは前夜祭を行うほど人気観光スポットにもなっている。
 前夜祭はオフィーリア嬢の歓迎の意味を込めて始めたと言うから、どれだけ歓迎されているのかがよく分かるエピソードとなっている。


「オフィーリアは可愛いだけじゃなくて面白い子だからお互い子供ができたら、私たちの様に遊ばせたいわ。絶対可愛いわね、ジルとオフィーリアの子!」

「そこは婚約させたい。じゃないのか?」

 幼い頃から仲良くしていたら親としてはそう思うだろう?

「それは私のエゴになっちゃうもの。子供にも意見があるでしょう? そうなれば良いとは思うけれど無視はできないもの」


 フローリアが親になる事を考えているとは! 成長したなぁ。


「お兄様、オフィーリアの事気に入っていたでしょう? 良かったの?」

 ! オフィーリア嬢はフローリアの友人で気難しいルシアンと友人になり、拗らせ系のジルベルトさえも虜にした。

「そりゃ……悪くないと思ったのは認める。しかし妹の友人としてだ。私と何かあるとなると将来は公爵夫人になるんだ。オフィーリア嬢には負担が大きすぎるだろ。きっと今のような笑顔は見られなくなるだろうな」


 ジルベルトと並んで心から嬉しそうに笑っている姿を見てそう思った。公爵夫人なんて並大抵の神経じゃやってられない。表では常に笑顔で裏ではどろっどろっの世界だ。

 オフィーリア嬢が私を好いてくれているのならどろどろした部分は全て引き受けても良いが、マナーや付き合いを一から見直しとなる。王族とも付き合わなくてはいけないし他国の王族とも……それは可哀想だ。負担が大きい。

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