初恋は苦い思い出。でも出会うべく人と出会いました
 もっとこの令嬢のことを知りたいと思い、思い切ってお茶会に招待してみた。

 ルシアンは面白くないだろうけれど、どんな子か見極めてほしいと思って……

 お茶会に持ってきてくれたお土産はサツマイモを使ったお菓子で、驚いた。

 だってサツマイモが美味しいと知っている貴族はまだまだごく僅かで、家畜の餌だと思っている家族が多いのに公爵家に持ってくるんだもの。

 その後の衝撃は忘れられないわ。何このサツマイモ! サツマイモが美味しいことは知っていたけれどさらにその上をいく美味しさ……何この子! 面白い。

 可愛い顔をしてよく食べるし、話をしていても嫌味がないし緊張すると言いながらも、次のお菓子に手を進める。

 ルシアンは害がないと思ったのか初めてあったオフィーリアと友達になったの! しかも名前で呼ぶほどよ?!

 私やルシアンに取り入ろうという気もないみたいだし、後から来た変なメガネをかけてボサボサ頭のジルベルトに対しても、普通に接するし……

 お兄様も悪い印象はなかったみたいだし、寧ろその逆? だって王太子殿下にまで会わせたんだもの。いくらサツマイモを備蓄として育てるにしてもだよ。


 その後オフィーリアと交流を進めるうちに、もっと仲良くなりたいと思っていたら、ジルの初恋相手がオフィーリアで三年も前から好きだったって……え! ジルの想い人がオフィーリア!?

「応援するからっ!」

 ジルがオフィーリアとくっついてくれたらこんなに嬉しいことはないわ! ずっと友達でいられるなんて!

「何もしないで見守っていてほしい」

 なんて言われてもねぇ。ランチに誘ったり、ダンスパーティーのパートナをさせたり、お泊まり会の次の日はダブルデートをさせてあげたの私達だから! 感謝しなさいよね!

 ジルはヘタレだと思っていたら、ちゃんと告白をしてオフィーリアを捕まえたし、後から聞く話によると決闘まで?!

 ジルが強いということを知っているのはごく僅かだし、楽勝で勝ったのだそう。久しぶりに剣を振る姿、見たかった~! 

 婚約者になってからのジルはもう見ていられないくらいオフィーリアを甘やかしていた。まぁ気持ちは分からないでもない。

 私も頑張ってオフィーリアの衣装を一から作ったのにジルが全部持っていっちゃったわ! まったく、もう!

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