この時間、この場所で
珍しくキミはボクよりも先に来ていた
いつもボクがキミが来るまで座っている
場所にキミは立っていて
優しい風が頬を撫で
心地よく思っていると
「さようなら」と笑顔で言って
キミはボクの前から消えた
いつかこんな日が来ると
どこかでわかっていた
時折見せるキミの暗い顔
ボクは見ない振りが得意だから
キミに何も言わなかった
下から聞こえる悲鳴はどこか遠く
青く広がる空を見上げて
突然、ボクの前から消えたキミに
「いいな……羨ましい」
とボクは呟いた