敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
参列者の前に立ち、私たちは決めておいた結婚の誓いを読み上げた。
大地が引っ張るので最初からショートベールはあげておき、誓いのキスや指輪の交換も省略。これも、大地が待っていられないからだ。
ケーキ入刀だけはしたけれど、大地はケーキに飾られたいちごを食べたがって大騒ぎ。
私の祖母の膝でカットされたいちごをもぐもぐ食べてようやく落ち着いた。それを見ていたほのかちゃんもいちごを欲しがり、ベビーふたりはいちごやフルーツでおなかをいっぱいにしたのだった。

大地とほのかちゃんに振り回されつつ、可愛い姿にみんなが笑顔になるのだから、こういった場を設けてよかったなあと感じる。
天国の母も見ていてくれるだろうか。祖父母の笑顔と、大地の笑顔が届いているといい。

「都子、何か食べるか?」

かわるがわる挨拶に来てくれる社員たちが一瞬途切れ、要さんが声をかけてきた。歓談の時間がメインのガーデンウエディングでも、新郎新婦は忙しい。なかなか喋れないでいた。

「ケーキをもらったから。要さんは?」
「俺も平気だ。なんだか、みんなの笑顔を見ているだけで満腹だよ」
「そんなことを言って、すきっ腹にシャンパンを入れて酔わないでくださいよ」

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