敏腕社長との秘密の身ごもり一夜~身を引くはずが、迎えにきた御曹司に赤ちゃんごと溺愛されました~
翌日、正午より少し前に祖父はマンションに到着した。時間より早くついてしまうのは、せっかちな祖父らしいし、何より気が急いていたのだろう。

「おじいちゃん、心配をかけてごめんなさい。要さんももう少しで戻るから」
「ばあちゃんも心配しているぞ。俺は今日、おまえと大地を連れ帰る気でいる」

どうしようか悩んだが、要さんが来る前に話しておきたい部分もあった。
久しぶりに大地を膝にのせて柔らかく微笑んだ祖父に、まず私は頭を下げた。懇願のためだ。

「おじいちゃん。私、要さんと一緒になろうと思っています」
「……こんなことがあって、まだそんなふうに言うのか」

祖父が険しい顔になる。

「岩切社長が立場をはっきりさせないまま、おまえを妊娠させたせいだろう。しかも元婚約者はまだ納得していない」
「それには事情があるの。要さんと元婚約者の麻里佳さんは納得しあっているのよ。だけど、麻里佳さんのご両親がどうしても腹立ちが収まらないみたいで、要さんの実家に押しかけたり今回のような通知を送ってくるの。麻里佳さんの意志じゃない」
「向こうの親が納得していないなら、同じことだ。その元婚約者の子どもの父親は何をやってるんだ。そいつが出てこないと話にならないだろ」
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