シュガートリック




「今、私たち以外に誰かいる?」

「ううん、いないよ」

「……そっか」


その言葉を聞いて目を瞑る。

これは、病人の独り言だと思って聞いてもらえればいい。

ずっと誰かに話して気持ちを軽くしたかった。弱っている今、余計その気持ちが強い。


私が、いつも人と目を合わせない理由。
流歌ちゃんしか知らない、私のトラウマ。


いや、違うな……流歌ちゃんだけじゃない。
名前も顔も知らないあの人も……。




✻✻



一年前のことだった。

高校一年生だったあの時の私も、今日みたいに学校で風邪を引いていることに気づいて。

頭が痛くて、身体が熱くて耐えられなかった。


その時は流歌ちゃんと同じクラスだったから、


「保健室行った方がいいよ」

「うん、そうする……」


と流歌ちゃんに言われて頷いた。

痛む頭を抑えながらゆっくりと保健室まで歩く。




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