シュガートリック




私の目の前にいる男の人は、私の後ろを見て目を見開いた。
どこか聞き覚えのある声に驚いて、パッと後ろを向くと。


「朝から告白?熱いね〜」

「…っ」

「でも、周りの人達から注目されちゃってるよ?この子の気持ちも考えてあげな?」


……っ、この人、昨日の……っ!
私の、ファーストキスを奪ってきた人……!

この人は私ではなく、私に声をかけてきた男の人の目を見つめていて。
笑いながらそう言った後、私に視線を移して「ね?」と首を傾げてきた。

左頬の腫れは近くで見なければ分からないほどには引いている。

……も、もしかして、助けてくれてるの……?
さっきまで恐怖で鳴っていた心臓が、謎の安心感でだんだん落ち着いてくる。

でも、私の目の前にいた男の人は放心状態になりながらも突っ立っていて。
…っ、お、お願い、このまま助けて……っ!




< 24 / 290 >

この作品をシェア

pagetop