初デートのすすめ
今日の天気は晴れ。気温は30℃。
夏休み直前の休日の昼下り。

カフェのテラス席に座り、アイスコーヒーのグラスに差したストローを咥えているのは、佐々原萌(ささはらもえ)16歳。
彼女の目の前にいるのは、同じクラスの常磐賢斗(ときわけんと)16歳。
高校に入学してすぐ、隣の席になった2人は、何かと話す機会が多く、気付いたら仲良くなっていた。

つい先日萌が賢斗に告白し、付き合うようになったが、その頃から、なんだか会話が盛り上がらなくなっていた。

沈黙の中、萌はぐるぐると頭の中で考えを巡らせていた。

――これが倦怠期っていうやつ?付き合って1週間も経ってないんですけど!早くない?!

倦怠期、という言葉は覚えたてホヤホヤの言葉だ。倦怠には「嫌になって飽き飽きする」という意味があるらしい。
これだけ会話が弾まないということは、もう飽きられたということなのだろうか。

焦っていた。
自分から告白した手前、自分が頑張らないといけないと気負ってしまっている部分もある。

人生で初めての彼氏。
経験が無さすぎて、何かあるとすぐにネットで検索してしまう自分がいた。
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