初デートのすすめ
――ヤバい。何か話さなきゃ…!
ふと、店内から聞こえてきたBGMに耳を傾ける。
――あ、この曲…
「オフダンの曲、流れてるね。好きって言ってなかったっけ?」
テーブルにアイスコーヒーのグラスを置きながら賢斗が萌に尋ねる。
「うん!そうなの!常磐君も好きって言ってたよね?」
「有名な曲しか知らないけどね。」
「そうなんだ!他にも色んないい曲があるよ!例えばね…」
話題を見つけた萌は、しばらくの間、好きなアーティストの曲について、熱く語った。
「いい曲、たくさんあるんだね。俺も今度聞いてみる。」
「うんうん!ぜひ!」
柔らかく笑う賢斗を見て、萌は幸せを噛み締めていた。
――常磐君、ホント優しいな。
元気が取り柄の萌にとって、いつも穏やかな賢斗と一緒に話すのは、とても居心地のいい幸せなひと時だと感じていた。
今日の彼は、黒のスラックスに白のTシャツをあわせている。シンプルな服装だが、いつも見慣れている制服姿とは違う雰囲気に、ドキドキする。
――私の今日の服、常磐君はどう思ったかな。
白のビッグシャツとキャミソール、ジーパン生地のショートパンツ。それに、今日は頑張ってヒールが高めのサンダルを合わせてみた。少し足が痛くなってきているが、気合いで誤魔化している。