Good day ! 3
言葉通り、病院の帰り道に区役所に立ち寄り、母子手帳を二人分もらってきた。

マンションのダイニングテーブルで、恵真と大和は一冊ずつ読み始める。

「ひゃー、可愛いな。なんて夢がいっぱいの手帳なんだ。お、恵真。両親の名前とか職業を書く欄があるぞ。早速書こう!」

大和はボールペンで、一文字一文字丁寧に書き込んでいく。

恵真も書こうとして、ふと疑問に思う。

「大和さん。職業って、運航乗務員って書く?それとも航空機操縦士?」
「ええー?どうなんだろう。そんな正式名称じゃなくていいんじゃない?要は、誰にも分かりやすく伝わればいいんだろ?」
「じゃあ…」
「パイロットって書いちゃえ!」
「ええ?いいのかな…」
「いいんだ!嘘じゃないもーん」
「やっぱり航空機操縦士の方が…って、大和さん!もう書いちゃったの?」
「うん」

悪びれもなく、大和はあっさり頷く。
父親の職業欄には、大きく『パイロット』と書かれていた。

「ええー?じゃあ私はなんて書こう。副操縦士?」
「何言ってんだ。恵真もパイロットだぞ!」

大和は横から手を伸ばして、自分で書き込みそうな勢いだ。

「分かりました!私が書きますから」

仕方なく、恵真も母親の職業欄に『パイロット』と記入する。

「ほんとにいいのかな?これで」
「当たり前だ!俺達はいつか子ども達を乗せて飛ぶ、パイロット夫婦なんだからな」
「そうか、そうですよね」

ふふっと恵真も笑う。

「しっかりこの子達をお腹の中で育てて無事に出産して、必ず大和さんと一緒に、二人を乗せて飛びます!」
「ああ。それが俺達四人家族の夢だ」
「はい」

恵真はしっかりと頷いた。
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