恋をしているのは内緒~報われないと知っているから~
「そこでお前の出番だ」
「え、なに?」
「俺も彼女ができたから、もう麗香とふたりでは会えないってウソを言っちゃったんだよ」
そんなふうに言えば、麗香さんが結婚を迷ったり後ろ髪を引かれたりしないのではないかと、きっと相楽くんはたくさん考えたのだ。
彼は自分の気持ちを抑え、彼女が幸せになれるように送り出そうとしている。
「麗香がさ、俺にそんな相手がいるなら会いたいって」
「それで?」
「察しろよ。一日だけ俺の恋人役をやってくれって話だ」
目力のある瞳でじっと射貫くようにして言われたけれど、どう考えても頼みごとをする態度ではなくて、私はあきれて小さく溜め息を吐いた。
「あ、俺の言い方が気に入らないか。ごめん、謝る。では改めて、お願いします。協力してください」
言葉にしなくても彼は私の心の中を読みとれるようで、テーブルの縁に両手をついて、額が付きそうなところまで深々と頭を下げる。
私が素の相楽くんを知ってから、彼は常にどことなく偉そうで俺様気質だった。だからこんなふうに急に態度を変えられると私も戸惑ってしまう。
きっと麗香さんのために下げたくもない頭を下げているのだ。そう考えたら切なくて、胸の奥がチクチクと痛くなる。
「わかった。麗香さんの前で恋人のふりをすればいいのね」
「うん、明日!」
頭を元の位置に勢いよく戻した相楽くんが、うれしそうな笑みをたたえて私に予定を伝える。
「明日って、いきなりすぎない?!」
「話の流れでそうなったんだよ。土曜の明日は休日だろうから会わせろって言われてだな……」
呆然という言葉は、おそらく今の私のためにある。
事前に断りもなく、相楽くんは最初から恋人役は私にしようと決め打ちしてきたのだ。
私がどうしても嫌だと拒んだら、明日麗香さんの前に連れていく相手がいないという状況に陥るではないか。
そうなる可能性を微塵も考えなかったのかと一瞬思ったけれど、私が必ず引き受けると彼は自信があったみたいだ。
「え、なに?」
「俺も彼女ができたから、もう麗香とふたりでは会えないってウソを言っちゃったんだよ」
そんなふうに言えば、麗香さんが結婚を迷ったり後ろ髪を引かれたりしないのではないかと、きっと相楽くんはたくさん考えたのだ。
彼は自分の気持ちを抑え、彼女が幸せになれるように送り出そうとしている。
「麗香がさ、俺にそんな相手がいるなら会いたいって」
「それで?」
「察しろよ。一日だけ俺の恋人役をやってくれって話だ」
目力のある瞳でじっと射貫くようにして言われたけれど、どう考えても頼みごとをする態度ではなくて、私はあきれて小さく溜め息を吐いた。
「あ、俺の言い方が気に入らないか。ごめん、謝る。では改めて、お願いします。協力してください」
言葉にしなくても彼は私の心の中を読みとれるようで、テーブルの縁に両手をついて、額が付きそうなところまで深々と頭を下げる。
私が素の相楽くんを知ってから、彼は常にどことなく偉そうで俺様気質だった。だからこんなふうに急に態度を変えられると私も戸惑ってしまう。
きっと麗香さんのために下げたくもない頭を下げているのだ。そう考えたら切なくて、胸の奥がチクチクと痛くなる。
「わかった。麗香さんの前で恋人のふりをすればいいのね」
「うん、明日!」
頭を元の位置に勢いよく戻した相楽くんが、うれしそうな笑みをたたえて私に予定を伝える。
「明日って、いきなりすぎない?!」
「話の流れでそうなったんだよ。土曜の明日は休日だろうから会わせろって言われてだな……」
呆然という言葉は、おそらく今の私のためにある。
事前に断りもなく、相楽くんは最初から恋人役は私にしようと決め打ちしてきたのだ。
私がどうしても嫌だと拒んだら、明日麗香さんの前に連れていく相手がいないという状況に陥るではないか。
そうなる可能性を微塵も考えなかったのかと一瞬思ったけれど、私が必ず引き受けると彼は自信があったみたいだ。