海底に沈む世界を救う為に異種間恋愛します
アオに手を引かれ住処を後にし、俺達2人はデートを始めた。
お互いデートは初めてで、特にアオは緊張してるのか、握ってる手に少しだけ力が入ってる。
なんとまぁ可愛らしい姿なんだろうか……。
かくいう俺もこうゆうのは初めてで、何をすればいいのか分からないが、アオと観光地巡ったりお店など周ったりした。

「この街はね、日本で1番海産物が揃う街なんだ」

アオに手を引かれ連れられた場所は、市場らしき場所だった。

「カジキにマグロ、アジにサンマ、タイにカニ!!」
「確かに、沢山の海産物が売られている」
「しかもここはね、美味しい海産物も食べれる!!おじさん、そのカニの脚焼き2本ちょうだい!!」
「あいよ」

アオが海産物屋のおじさんに何かを注文し、アオからおじさんから注文した物を受け取った。

「ほら、脚焼き」
「脚焼き?」
「セラの世界はないの?」
「ないと言うか、カニは汁物が普通だったからな…焼くのは初めてだ」
「なら、食べてみな!めっちゃ美味しいから!!」

アオに言われ、脚焼きを口に入れた。

「!?」
「どう?美味いでしょ?」
「美味い…カニがこんなに美味いのは知らなかった」
「カニは食べるにはベストな時期があって、ちょうど今がベストなんだよ」
「あっちでは、そんなのは関係なく捕って食べてたからな」
「時期は大切、生き物を美味しく頂くだけじゃなく、生き物と共存するにも」
「共存?」

アオと俺は食べた後の物を片付けて、浜辺に移動した。
人はあんまりいなく、穏やかな雰囲気な浜辺だ。

「やっぱり、海が1番いいや」
「アオ、さっき言ってた共存ってのは?」
「共存ってのは…海の生き物と一緒に生きていく事。いま、この世界は人間があまりにも強い位置にいるの」
「人間が?」
「うん…乱獲や密猟、海の汚染やゴミ問題等、人間が原因な問題が今深刻化してる…」

アオは海をみながら、切なそうな表情を見せた。

「もちろん、人間の中で海に携わる人達はこの問題に悩んでる…この街の漁師もね」
「……」
「人間は海から多くの命を与えられて、生きていけてる。だからこそ、命を与えられたのなら、次の命に繋げるようにするのが、人間が今すべき事だと思う。だけど、残念ながら多くの人間はそれが出来ない」
「何故だ?人間は魔法を使わずして、ここまで発展してきたのなら、出来るはずだ」
「残念ながら、人間は利益にならないようなことは、進んでやりたがらない」
「……」
「そんな顔しなくてもいいよセラ、この問題は私が解決させるから」

アオは任せなさいと言わんばかりの堂々とした表情に戻った。

「何か考えがあるのか?」
「ある…だけど、今は内緒!」

アオはサンダルを脱いで、ズボンが濡れないように曲げ、波打ち際に立った。
波は、穏やかでアオの足に優しく当たる。

「気持ち良い…セラもおいでよ!!気持ち良いよ!!」
「……」

アオに誘われるがままに、サンダルを脱いで波打ち際に立った。
優しい波が足に当たり、心地よい感じだ。

「あぁ…気持ちい」
「でしょ!!」

アオの楽しそうな表情が見られて俺も若干楽しい。
大切な人とデートするってことはこうゆう事なのだろう。

「楽しい」
「え?」
「俺、やはりお前を番にして良かったと思ってる」
「それはよかった、私も楽しいよ」

アオは八重歯を見せるような可愛らしい笑顔を見せた。
浜辺で海に沈む夕日を眺めてからは、2人で住処までの道を歩く。

「セラ」
「なんだ?」
「セラはなんで、オーシャンバトルに参加したの?」
「願いを叶えさせる為に参加した」
「願い?どんな願い?」
「……それは」

俺が何故オーシャンバトルに参加した理由……。
それは、一族を復活させる為。
しかし、まだアオに言う勇気がなかった。
何故なら、この話するには俺の過去を話さなければならないからだ。
アオには俺の血塗られた過去の為に一緒に戦うと考えただけで俺自身に嫌気がさす。
アオには血塗られた道を歩んで欲しくはない。

「他にも願いはあったが、やはりアオと一緒に居たいのが俺の願いだ」

優しくアオの頭を撫でるとふにゃあとした笑顔を見せ、嬉しそうに笑う。

「へへ……ちょっと嬉しいな」

その笑顔が俺の罪悪感を締め付ける。
すまないアオ、お前にはまだ本当の事は話せない。
だけど、話すその時がこれば俺はちゃんとお前に話す。

「…………」
「大丈夫だ、セラ」
「!?」
「セラが何か隠してるのは分かってた。それは、話したい時に話せばいいから」
「分かってたのか?」
「まぁ、多少はね……あ、内容までは分からないから安心して」
「……ありがとう」

しばらくすると住処に着いた。
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