怪盗ベルにおまかせ!
「…ベル!」


ベランダのガラス戸を開けて、光井くんが顔を出した。


正直、とても驚いた。

物音も立てずにやってきたのに、光井くんに見つかってしまったから。


「どうして、わたしだってわかったの…?」

「なんでだろうな。でも、なんとなく。ベルがいるような気がして窓を開けたら、本当にいたからびっくりしてる」


照れたように笑う光井くん。

ふと光井くんは、わたしが抱えていた袋に視線を動かした。


「もしかして、それって…」

「うん。預かっていた大事なカメラを返しにきたの」


わたしは、歩み寄ってきた光井くんにカメラを差し出した。


「…やっぱり、見た目はもとのように戻すのには限界があったの。でも、カメラとしてはちゃんと機能するから」

「ありがとう、ベル。あいつらに壊されたときに正直もうあきらめてたから、まさかまたこいつで写真を撮ることができるなんて夢みたいだ」
< 146 / 181 >

この作品をシェア

pagetop