怪盗ベルにおまかせ!
「…ケッ!ケム――…!!」


大声で叫びそうになって、慌ててトロフィーを抱えているほうとは逆の手で口をふさいだ。

今声を上げたら、光井くんに見つかってしまう。


それなのに、わたしは思わずバランスを崩してしまい、木からは落ちなかったものの、物音を立ててしまった。


…カサッ


その音にすかさず反応する光井くん。


「だれだっ!?」


光井くんは振り返り、そして木の上にいたわたしと目が合う。


「…怪盗ベル!?」


すぐさまわたしにカメラを向ける光井くん。


…マズイ、見つかった…!


これまで、怪盗ベルを追う光井くんとは何度か会ったことがあった。


だけど、…こんな至近距離で。

しかも、夜ではない明るい真っ昼間に見られるなんて。


どうしよう…!

正体がバレちゃう…!!
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