ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

8 少しずつ屋敷が変化していきます

 クロエはすっかり塞ぎ込んでいた。
 
 誕生日に婚約者のスコットから贈られたネックレス……それを失ったことは彼女にとって大きな心の傷となって、あまりの喪失感になにもする気が起きなかった。

 更に、先日のスコットとのお茶会で継母と異母妹の示し合わせてような真っ赤な嘘……。

 まさか二人揃ってあんな虚偽を平然と言い放つなんて、思いも寄らなかった。
 生まれてこのかた綺麗なものしか触れたことのない温室育ちの彼女は、平気で嘘をつくような人間はこれまで出会ったことがなかった。
 だから、獲物を仕留める猛禽類のような不意の攻撃には、当意即妙には対応することなんてできなかったのだ。
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