ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

58 男女の思惑です!

「ク、クロエ……!?」

「あら、スコット。こんなところで会うなんて、奇遇ね。ご機嫌よう」

「そちらは…………?」

 スコットは引きつった顔で婚約者の隣にいる男を見る。己より上背があって体格も良くて、男の自分でも見惚れるくらいの、端整な顔立ちをしていた。

 彼の本能が警告する。
 クロエが……奪われる!



 クロエは、あの再会の日以来、度々ユリウスと会っていた。

 建前上は復讐の打ち合わせのようなものだったが、本音を言うとただ彼の顔が見たいだけだった。
 既に彼女の中で彼は大きな存在になっていて、同じ時間を共有するだけで心に平穏が戻るような、そんな安心する相手だった。
 ユリウスのほうも、口実を見つければすぐにクロエに会いに行って、二人の関係は逆行前より親密になっていったのだ。
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