ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

16 再び婚約者がお屋敷にやって来ました

 スコットがパリステラ家へ訪れると、家令から応接間へと案内された。

 彼は、はてと首を傾げる。
 いつもは直接クロエの部屋へ向かうことが多いのに、今日は来客用の間なんて、やはり自分は彼女から拒絶されているのだろうか。

 それに、家令が変わっている。
 パリステラ家は新たに夫人と娘を迎えた際に、屋敷全体を新しい体制に移行させたと聞いていたが、自分を先導する彼もその人事の一環なのだろうか。
 それにしても、長く勤めていた家令をこうも簡単に移動させられるものか? ……と言うか、前の家令はまだここで働いているのか?

 歩きながらぼんやりと考えていると、妙に胸がざわついた。


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