ゴーストと呼ばれた地味な令嬢は逆行して悪女となって派手に返り咲く〜クロエは振り子を二度揺らす〜

22 過酷な毎日です ※虐待による不快なシーンあり※

 パリステラ家においてのクロエの立場は、もう地に落ちていた。
 その上、知らない間に社交界での評判もボロボロで、彼女と懇意で手紙のやり取りをしていた令嬢たちからの便りも、完全になくなってしまった。

 スコットとは、会っていない。

 彼が屋敷を訪ねることはあるようだが、コートニーとしか面会せず、クロエのことはもう名前すらも出さなくなっていた。
 クロエは、彼に今度こそ話を聞いてもらおうと何度か試みてみたが、頑なに拒まれてもう会うことすら叶わなかったのだった。

 コートニーの名声は、国の貴族中に広まっていた。
 美貌と才能を持ち合わせた高貴な令嬢と是非とも誼を通じたいと、彼女の周りには常に多くの貴族たちが集まって、今では社交界の華になっていた。

 彼女は魔法で功績を上げて、そのお陰でパリステラ家は魔導院でも大きな発言力を持つようになって、もともと求心力の高かったパリステラ侯爵家の派閥は確固たるものになっていった。
 クリスとコートニーはもう「愛人とその娘」ではなく、歴としたパリステラ家の「夫人と令嬢」だった。

 一方、クロエはいくら努力をしても、一向に成果があらわれず、未だに魔法を使えることが叶わなかった。


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