来世、君に「愛してる」と言う。

「君を、愛してる。」


 人を心から愛すという行為。
 恋焦がれた人から愛の告白を受けるという状況。
 それらすべてが、私にとって生まれてはじめての体験だった。 

 私はひどく驚いて、思考を停止をさせる。
 時計の針が動くのをやめると、そこでは永遠にも感じられる沈黙が生じている。

 私の頭は現実逃避のように、かの有名な文豪・夏目漱石が、

 「この国の国民たちは奥ゆかしいから“愛してる”なんて言えないだろう。“I love you.”は、“月が綺麗ですね。”とでも訳しておきなさい。」

 と弟子たちに教えた、という雑学へ、つくづく分かりにくい国民だよな、、とどうでもいい感想を脳裏に浮かばせる。
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