小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

過去との邂逅

 院長室には院長先生と綺麗な長い髪の女性が座っていた。

「お待たせしてすみません」

「いや。佳奈美、彼女が図書館司書の女性だよ」

「初めまして、平田美鈴と申します」

「ねえ、原田先生。こんなやり方ひどいわ。だってストーカーから助けるために彼女と付き合っているフリをしていたんでしょ?私、みんなから聞いて知っているんだから……」

「佳奈美さん。僕は最初から佳奈美さんとはお付き合いしないとお伝えしていましたよね。院長先生もわかってくださっていた。美鈴のことは僕が前から好きだったんです」

「そんなの嘘。それに、お父様も知っているけど原田先生のお父様からも私との結婚を後押しされているのよ。住田病院のためにもそうした方がうちと提携出来るし、いいっておっしゃってたわ」

「……佳奈美。そのことはまた話が別の問題なんだよ。原田君、君の実家の病院のことについては佳奈美に全部は話していないんだ」

「何なのお父様?何か隠していたの?」

「……原田君、忙しいだろう。もういいよ。平田さんもお疲れ様。その後は、大丈夫?なにもないかな?」

「あ、はい。色々ありがとうございました」
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