小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

住田病院訪問


「今日も父の病院に昼休み行ってきたんだ。実は小児科医として父の病院へ非常勤で来てくれないかと言われたんだ」

 夕食の後、少しお酒を飲みながら急に切り出した。

「……え?」

「そして今日、父から聞かれたよ。まだ、彼女と同棲しているのかと……美鈴、父から電話がきたこと僕に黙っていたね」

 私は、どう答えるべきか考えた。困った様子の私を見て、先生は言った。

「父は君が僕の実家のことなど何も知らなかったから、縁談を破棄するために偽の恋人役として連れてきたという佳奈美さんの話が本当だろうと思っていたそうだ。君が父との約束を守って僕に伝えていないのにも驚いていたよ」
 
 思いきって話した。

「……お父様は先生が自分を避けていると寂しそうに話しておられました。名字も違うし何かあるんだろうと思ってお話ししませんでした。こういうことってデリケートなことだし、うちも父は再婚しているので少し想像できたんです」

「電話のことを俺に教えなかったことは、きっと君の優しさなんだろうと思ったけど……正直、父から聞いて少し寂しかったよ」

「……ごめんなさい」
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