小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

「君も知っての通り、父の病院は住田病院だ。住田病院に小児科医は父しかいない。義理の弟がいて、それが内科医なんだ。もう一人、継母の実家から内科医が定期的に来ている。まだ弟は駆け出しだからその先生が仕切っているんだ。父が倒れて毎日小児科医がいないので困っている」

 それは大変だ。患者さんがいるんだから問題だろう。

「それは大変ですね。住田院長の具合はどうなんですか?」

「退院はしたが、毎日診療するのは難しそうだ。それで俺に話が来た」

「それで先生はどうするんですか?」

「実情はわかるが、俺も患者さんを抱えている。非常勤でヘルプに入るとしても、こっちで俺の代わりがいないと回らない」

「あちらで誰か探せないんですか?」

「まあ、探してくる前に息子の俺と言うことだろうな」

「じゃあ、宝田院長と相談されるんですか?」
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