小児科医は癒やしの司書に愛を囁く

 「なるほど。宇宙飛行士は宇宙で医学の実験もしているんだよ。いつか行けるといいな」

 「うん」

 「よし。このあとで一本点滴するけど、眠くなったら寝るんだぞ」

 「はい」

 「今日はお父さん来るって?」

 「わかんないけど、来るとしたら夕方かなあ?」

 「……そうか。じゃあな」

 「うん、バイバイ弘樹先生」

 カーテンを元に戻して出た。

 院長とは外来を診てから昼時に食事をしながらという待ち合わせだ。

 医局でカンファレンスに出た後、指示をして外来へ降りた。
 すると、後ろから背中を叩かれた。

 「弘樹先生。今日はこれから外来ですか?」

 振り向くと院長の娘、佳奈美さんだ。

 「ああ、そうだ。君は何してるんだ?もう外来受付始まってるぞ」
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